「耳の異常なし」と言われためまいへ
めまいの原因は耳だけではありません。脳、片頭痛、自律神経、心の状態——さまざまな仕組みが関わります。当院では脳神経内科専門医が、まず脳が原因のめまいを見極めたうえで、耳の検査で異常が見つからなかったタイプのめまいを診療します。
こんな症状でお悩みではありませんか?
- 耳鼻科で検査を受けたが「異常なし」と言われ、症状だけが残っている
- めまいが何か月も、ほぼ毎日のように続いている
- 頭痛とめまいが一緒に、あるいは前後して起こる
- めまい止めを飲んでも、ふわふわした感じが変わらない
「めまい」という言葉は、人によって違うものを指しています
うまく説明できなくても、心配はいりません。
「めまい」は、日本語でも医学用語としても、非常に幅の広い言葉です。ぐるぐる回る感じ、ふわふわ浮く感じ、立ちくらみ、歩くときの不安定さ——本来はまったく別の現象が、すべて「めまい」の一語で語られています。
そして、これらを言葉で正確に区別することは、実際にはとても困難です。同じ患者さんが、たずね方や日をかえると違う言い方をされることは珍しくありません。「回っているような、ふわふわするような」と表現が重なることも、ごく自然なことです。
この用語の幅は、患者さんに限った話ではありません。「めまい」「ふらつき」「立ちくらみ」といった言葉は、医療の現場でも使い方に幅があり、同じ言葉が別の意味で用いられることがあります。そのため、感じ方の表現だけを手がかりに診断を進めると、判断を誤ることがあります。
だからこそ当院では、「どう感じたか」よりも「いつ始まり、どのくらい続き、何をすると起こるか」を重視して診療します。表現の言い換えができなくても、診断には支障ありません。安心してご相談ください。
めまいの4つのタイプ(おおよその目安)
とはいえ、大まかな整理は原因を考えるうえで役に立ちます。次の4つは典型例であり、きれいに当てはまらなくても問題ありません。
| タイプ | 感じ方 | 主に考えられる原因 |
|---|---|---|
| 回転性 | 自分や周囲がぐるぐる回る | 内耳(三半規管)、脳幹・小脳 |
| 浮動性 | ふわふわ浮いている、地に足がつかない | 脳、片頭痛、自律神経、慢性のめまい |
| 前失神性 | 目の前が暗くなる、気が遠くなる | 血圧の低下、心臓、貧血、薬剤 |
| 平衡障害 | 立つ・歩くと不安定になる | 末梢神経、脊髄、小脳 |
診断の決め手になるのは、この分類そのものよりも経過と誘因です。診察では次の点を詳しくうかがいます。
- いつ始まったか:突然か、徐々にか
- どのくらい続くか:数十秒か、数時間か、何か月も続いているか
- 何をすると起こるか:寝返り、起き上がり、立ち上がり、頭を動かしたとき、あるいは何もしなくても
- ほかに何を伴うか:難聴、耳鳴り、頭痛、しびれ、物の見えにくさ
この問診が、検査以上に診断を左右します。発作のときの状況をメモしてお持ちいただけると、診断の精度が上がります。
まず見極めるのは「脳が原因かどうか」
めまいの多くは命に関わりませんが、脳幹や小脳の脳梗塞・脳出血が、めまいだけで発症することがあります。これを見逃さないことが診療の出発点です。
次の症状を伴うめまいは、緊急性が高い可能性があります。救急要請(119番)をご検討ください。
- 突然始まり、強いめまいが続いている
- 物が二重に見える
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 片側の手足に力が入らない、しびれる
- 立つことも座ることもできないほど体が傾く
- 経験したことのない激しい頭痛を伴う
脳が原因かどうかの見極めには、眼の動きの観察と神経学的診察を組み合わせます。当院ではこの診察に加え、必要と判断した場合にMRIで脳の状態を確認します。
脳神経内科が主に担当するめまい
中枢性めまい(脳幹・小脳の病変)
- 原因:脳幹・小脳の脳梗塞、脳出血、小脳の変性疾患など
- 症状:突然のめまいが持続する、体が一方向に傾く、複視や構音障害を伴う、めまい止めが効かない
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
- 原因:内耳の耳石がはがれ、三半規管に入り込むことで、頭を動かしたときに強いめまいが起こる
- 症状:寝返り、起き上がり、上を向くなど頭を動かした瞬間に、数十秒の回転性めまいが起こる。じっとしていれば治まる。難聴や耳鳴りは伴わない
- 備考:めまいの原因として最も頻度が高いタイプです。診断は、頭の位置を変えて眼の動きを観察する診察で行います
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)
- 原因:BPPVや前庭神経炎などのめまいをきっかけに、バランスを保つ脳の働きが過敏なまま固定してしまう状態
- 症状:3か月以上にわたり、ほぼ毎日ふわふわ感・不安定感が続く。立っているとき、体を動かしたとき、人混みやスーパーの棚など複雑な視覚刺激で悪化する。横になると楽になる
- 備考:「検査で異常がないのにめまいが治らない」方の多くがこのタイプです。近年になって国際的に定義された病態で、薬物療法によって改善が期待できます。また、めまいを恐れて動かずにいると症状が固定しやすいため、無理のない範囲で日常の活動を続けることも回復につながります
起立性低血圧・薬剤性
- 原因:自律神経の障害、降圧薬・睡眠薬・抗不安薬などの影響
- 症状:立ち上がった直後に目の前が暗くなる。服用薬の見直しで改善することがあります
前庭性片頭痛
- 原因:片頭痛と同じ仕組みが、痛みではなくめまいとして現れるもの
- 症状:数分から数十時間続くめまいを繰り返す。頭痛を伴うこともあれば、めまいだけのこともある。光や音がつらい、動くと悪化する。片頭痛の既往がある方に多い
- 備考:耳の検査では異常が出ないため見過ごされやすく、めまい止めだけでは改善しません。片頭痛の予防治療によって、めまいの回数が減ることがあります。頭痛の診療とあわせてご相談ください
難聴・耳鳴りを伴うめまい
次のタイプは内耳が原因で、難聴や耳鳴りを伴うことが特徴です。聴力の評価が必要となるため、耳鼻咽喉科での検査・治療が適しています。当院の診察で該当が疑われる場合は、その旨をご説明します。
- 前庭神経炎:強い回転性めまいが数日間続く。難聴は伴わない。かぜ症状のあとに起こることがある
- メニエール病:数十分から数時間続く回転性めまいを繰り返し、難聴・耳鳴り・耳のつまった感じを伴う
- 突発性難聴に伴うめまい:突然の難聴とともにめまいが起こる。早期の治療開始が重要なため、耳の聞こえが急に悪くなった場合は速やかに耳鼻咽喉科を受診してください
当院で行う評価
- 問診:めまいの持続時間、誘因、随伴症状、経過を詳しくうかがいます
- 神経学的診察:眼の動きの観察、頭位変換による誘発、協調運動、腱反射、歩行の評価
- MRI検査:脳幹・小脳を含む脳の評価。AI技術による圧縮センシングを用いた装置で、短時間かつ高精細に撮像します
- 起立時血圧測定:起立性低血圧の有無を確認します
- 血液検査:貧血、甲状腺機能異常など、治療可能な原因の検索
- 服用中のお薬の確認:お薬手帳をご持参ください
診療のご案内
脳神経内科外来は毎週水曜日の診療です。予約制ですので、Web予約またはお電話でご相談ください。
めまいのある方も来院しやすいよう、当院は笹塚駅徒歩1分・ビル1階にございます。
【監修】医師 津田 浩史(神経内科指導医・専門医/総合内科専門医)
東北大学医学部 脳神経内科 客員教授/東邦大学医学部 脳神経内科 客員教授/順天堂大学医学部 脳神経内科 非常勤講師
アークスキャン整形外科-笹塚 脳神経内科 〒151-0073 東京都渋谷区笹塚1-58-6 マルシンビル1階 TEL 03-6273-6922