腰・股関節の痛み

腰痛、股関節痛について

腰の痛み(腰痛)

💡 急に始まった腰痛から、長く続く慢性腰痛まで

腰痛は誰にでも起こりうる身近な症状ですが、発症からの期間や症状の性質によって、対処法は大きく異なります
当院では、世界の腰痛研究・ガイドラインに基づく診療を、日本の保険制度に沿って提供し、無駄な治療や通院を減らすことを重視しています。


🌀 急性腰痛の診療の流れ


📌 急性腰痛とは?

発症から4週間以内の腰痛は「急性腰痛」と呼ばれ、多くは自然に軽快すると考えられていました。
ただし、Downieらの研究(2016)によると急性腰痛は以下のような回復経過をとります:

✅ 約1/3が2週間以内にほぼ回復
✅ 約1/3が12週以内に改善
⚠️ 残りの1/3は**慢性化の傾向あり

**早期に慢性化傾向を見抜くことが重要です!


🚩 Step 1:レッドフラッグの確認


🔍 以下の危険因子を確認し、必要に応じて画像検査を行います。

– 発熱・がんの既往・ステロイド使用・外傷・強い夜間痛 など
– MRIやCTを早期に実施し、重篤な疾患を除外


⏳ Step 2:保存的治療と経過観察(発症〜6週間)


原則、安静は不要! 動ける範囲で日常生活を継続します。
患者教育(Neuro Pain Education)を実施

🧠 心理社会的因子の早期評価
➡ ストレス、不安、職場環境などをカウンセリング的に確認し、慢性化予防につなげます
💊 薬は必要最小限にとどめ、牽引や電気治療などは原則行いません



🔄Step 3:再評価(6週時点)

✅ 改善している場合

→ 治療に反応していると判断し、保存療法を継続
→ 通院回数は最小限、自宅でのセルフケアを重視

❗ 改善が乏しい/悪化している場合

→ MRIで器質的異常の有無を確認
→ 明らかな異常がなければ、Neuro Pain Education を導入
→ 痛みの捉え方・思考のクセの修正と動作再学習を開始


🔁 慢性腰痛の診療


🧩 3ヶ月以上続く腰痛は「脳と体」の関係に注目


慢性腰痛では、身体の構造の問題だけでなく、痛みの処理に関わる脳や心理的な要素も重要になります。

📘 APTA(アメリカ理学療法士協会)のガイドラインでは「急性期と慢性期では治療のアプローチを変える必要がある」と明示されています。


💪 当院の慢性腰痛治療


🔬 根拠に基づく多面的なアプローチ

– 📖 Pain Neuroscience Education(脳科学に基づく患者教育)
– 🧠 CBT的サポート:考え方や行動のクセにアプローチ
– 🏃‍♂️ MDT (Mckenzie法)認定セラピストによる評価と運動療法
– 🤲 徒手療法、姿勢・生活指導、再発予防のトレーニング
– 📹 自主トレ動画・印刷資料で通院回数を最小限に


🌍 医師・スタッフの専門性

– 院長は国際腰椎学会(ISSLS)会員で、腰痛診療に精通
– 理学療法士や医師の中に、MDT(マッケンジー法)認定セラピスト在籍
– 世界基準の評価・治療を、日本の保険診療で無理なく提供する体制を構築


📎 まとめ|腰痛を正しく理解し、無駄なく治す

✅ 急性腰痛は自然に治るものもありますが、**早期に見極めることが慢性化予防のカギ**です

✅ 当院は、フローチャートに基づいた診療アルゴリズムをもとに、根拠ある治療を、必要最小限の通院で提供しています

股関節の痛み ― 変形がないのに痛い?

「レントゲンでは異常がない」と言われたのに、足の付け根が痛む、しゃがんだり階段を下りるときにつらい…。そんな変形がない股関節の痛み(非変形性股関節疾患)は、近年増加傾向にあります。
当院では、こうした股関節の痛みに対し、MRIによる詳細な検査と専門的なリハビリ指導を行い、早期の回復と将来的な変形の予防を目指しています。

🔍MRIが役に立つ代表的な股関節疾患(炎症性疾患を除く)

大腿骨頭壊死
股関節の奥の骨(大腿骨頭)の中がダメージを受けて弱ってしまう病気です。血の流れが悪くなり骨が壊れていくことが原因で、ステロイドやアルコールが関係することがあります。MRIでは早い段階から異常が見つかるため、早期診断に役立ちます。

大腿骨頸部疲労骨折
股関節のすぐ下の骨に、小さなひび(疲労骨折)が入る病気です。ランニングやジャンプなどの繰り返し動作で起こりやすく、X線では見つけにくいこともありますが、MRIで早期発見が可能です。

鼠径部痛症候群(Groin Pain Syndrome)
スポーツなどで足の付け根(鼠径部)に負担がかかることで、筋肉や腱、骨のつなぎ目が痛くなる病気です。股の内側や下腹部が痛くなり、MRIで筋肉や腱の損傷、炎症の場所を詳しく調べることができます。

滑膜ヒダ障害(Plica syndrome)
股関節の中にある“ひだ”のような膜が動きの中で引っかかり、違和感や痛みが出ることがあります。「コリッ」と音がすることもあり、MRIではその膜の厚みや炎症の様子を確認できます。

中殿筋腱の障害(断裂や炎症)
おしりの横にある筋肉(中殿筋)と骨をつなぐ部分が弱くなったり傷んだりする病気です。片足で立ちにくくなったり、歩くとおしりの横が痛むのが特徴で、MRIで腱の損傷を正確に確認できます。

太ももの筋肉の付け根の損傷(大腿直筋・内転筋・ハムストリングなど)
ジャンプやキックを繰り返すスポーツで、筋肉が骨にくっつく部分が引っ張られて痛くなります。股関節の前や内側、うしろなど、痛みの場所は筋肉によって異なり、MRIでその部位を詳しく評価できます。

ペルテス病(小児)
5〜10歳ごろの子どもに見られる、股関節の骨の成長障害です。骨に血が届きにくくなって弱くなることで、歩き方がぎこちなくなったり、足を引きずることがあります。MRIではX線よりも早い段階で異常を発見できます。

大腿骨頭すべり症(幼児や学童)
思春期の男の子に多く見られる病気で、股関節の骨(大腿骨頭)が成長の部分からずれてしまいます。足の付け根の痛みや足を引きずるような歩き方があり、MRIでは骨のずれや周囲の炎症が早期にわかります。

🖼 MRIで“見えない異常”を発見できます

レントゲンでは主に骨の形だけが写るため、「異常なし」と言われても、実際には関節唇(かんせつしん)や軟骨、靭帯、筋肉などにトラブルが隠れていることがあります。
当院では、必要に応じてMRIを適時撮影し、レントゲンでは確認できない異常を詳しく評価します。



✅ MRIでわかる主な損傷

– 骨の微細な変形や負荷の跡(骨挫傷や大腿骨頭壊死の初期)
– 関節唇損傷(関節の縁の軟骨の断裂)
– 関節包や関節周囲の靭帯や筋肉などの損傷
– 軟骨のすり減りや欠損

🩺 診察と評価 ― まずは“どこが痛いか”を丁寧にチェック

問診と触診、簡単な動作テストで、どの動きで痛みが出るのか、どの筋肉が使えていないのかを細かく確認します。

🧘‍♀️ 治療は手術がすべてではありません

股関節の痛みの多くは、運動と生活動作の見直しによって改善が期待できます。

🏃‍♂️ 主なリハビリ内容

骨盤を支える筋肉(中殿筋、大殿筋など)のトレーニング

股関節がねじれたりぶつかったりしないようにする姿勢指導

片足での立ち上がりやバランス訓練

日常生活での注意(しゃがみ込み、脚を組む姿勢の制限)

🚨 手術が考慮されるケース

運動やリハビリを3ヶ月以上行っても改善が見られない場合

MRIで明らかな損傷があり、強い痛みや運動制限がある場合

スポーツ選手や、強い身体負荷が避けられない若年者

🔹当院の特徴とサポート

🔸 MRIを活用した“見逃さない診断”
🔸 理学療法士による個別運動プログラム
🔸 ライフスタイルに合わせた日常動作の指導
🔸 手術が必要かどうかも客観的に評価

変形性股関節症とは?

股関節は、脚のつけ根にある大きな関節で、立つ・歩く・しゃがむなど、日常の動作すべてに関わっています。この股関節の軟骨がすり減り、関節が変形してくる病気が「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」です。

特に日本人では、もともと股関節のかぶりが浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」を持つ方に多く見られます。

こんな症状はありませんか?

  • 歩き始めや立ち上がるときに、脚のつけ根が痛む
  • 靴下をはく、足の爪を切る動作がやりにくい
  • あぐらや正座がつらい
  • 階段の昇り降りや長距離歩行が不安になってきた

早期の段階では、適切な保存療法によって進行を抑え、日常生活を快適に保つことが可能です

保存療法のポイント

🧘‍♀️ ① 一人ひとりに合った運動療法

当院では、理学療法士によるオーダーメイドの運動指導を行っています。
ただ筋トレをするのではなく、

  • 股関節の可動域を保つストレッチ
  • 体幹やお尻まわりの筋力強化
  • 体重のかかり方を整えるバランス練習
    など、正しく動かすことを目標にした運動を段階的に行います。

「痛いのに動いて大丈夫?」と不安な方には、水中運動や軽負荷エクササイズから始める工夫も行っています。

📚 ② 正しい知識と安心感を

「軟骨がすり減っている」と言われると、不安になってしまう方も多いかもしれません。

当院では、模型や画像を使ってわかりやすく説明し、

  • どのくらいの進行度なのか
  • 手術が必要かどうかの目安
  • 日常生活で気をつけること
    を、患者さまの生活スタイルに合わせて丁寧にお話します。

「なるべく手術をしない治療」を一緒に

変形性股関節症は、進行度に応じて治療法も変わりますが、早い段階から正しく対処することで、人工関節手術を避けられる可能性も高くなります

当院では、保存療法の選択肢をしっかりとご提示し、必要な場合にのみ信頼できる専門施設への紹介も行います。